メニュー  → 生薬学術情報  → 
薄荷
薄荷
(はっか)
ハッカ
入手時名称:ハッカ
撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館
TMPW No.:9844
Mentha piperita
植物名:Mentha piperita
撮影場所:日本, 北海道
撮影日時:1990
撮影者:小松かつ子

生薬別名 蘇薄荷, 薄荷葉
生薬ラテン名 Menthae Herba
生薬英名 Mentha Herb
科名 シソ科 Labiatae
基原 ハッカ Mentha arvensis var. piperascens Malinvaud
薬用部位 地上部
選品 葉の青味が強く、香気の強いものが良品 (文献Q1)。
主要成分 モノテルペノイド monoterpenoids
- Camphene
- Cineole
- Isomenthone
- Menthenone
- Piperitenone
- Piperitone
- Pulegone
- d-Neomenthol
- l-Limonene
- l-Menthol (精油約1%の70-90%)
- l-Menthone
- α-Pinene

セスキテルペノイド sesquiterpenoids
- Germacrene D
- β-Caryophyllene
薬理作用 中枢抑制,血管拡張,皮膚刺激,鎮痙作用(精油).局所刺激,局所麻酔,鎮痙,駆風,利胆,駆虫作用(menthol).
臨床応用 芳香性健胃,駆風薬,頭痛,目まい,咽頭痛,瘰癧,心腹脹満などに応用する.多くはl-menthol(防腐,局所麻酔),ハッカ油,ハッカ水などの製造原料とする.
頻用疾患 発熱, 悪寒, 頭痛, 無汗, 咽喉の腫脹疼痛, 目の充血, 麻疹, そう痒, 胸脇が張って痛む, 腹満, 腹痛, 嘔吐, 下痢
含有方剤 加減涼膈散(浅田) , 加減涼膈散(龔廷賢) , 加味逍遙散 , 加味逍遙散加川芎地黄 , 響声破笛丸 , 荊芥連翹湯 , 荊防敗毒散 , 柴胡清肝湯 , 逍遙散 , 滋陰至宝湯 , 清上防風湯 , 洗肝明目湯 , 川芎茶調散 , 防風通聖散 , 涼膈散
帰経 肺, 肝
神農本草経  
中医分類 解表薬 (辛凉解表薬)
薬能 宣散風熱.清頭目,透疹.風熱感冒,風温初起,頭痛,目赤,喉痺,口瘡,風疹,麻疹,胸脇脹悶に用いる.
薬徴  
備考 第十八改正日本薬局方収載品.
※セイヨウハッカ Mentha piperita L. は ミドリハッカ M. spicata L. と ウォーターミント M. aquatica L. の自然雑種で,世界各地で商業用,園芸用に栽培されている.その葉は代表的なヨーロッパ生薬でセイヨウハッカ葉(Mentae Piperitae Folium)またはペパーミント・リーフと称し,鎮痙,駆風,利胆薬として胃炎や腸炎,胃腸の疝痛,鼓腸,慢性胆のう病などに応用される.これから得られた精油(0.5~4%:ペパーミント油)は薄荷から得られた精油よりメントールが少なく,味,香りともに勝るとされる.セイヨウハッカ葉にはmenthofuranが含まれるが,薄荷にはあっても痕跡程度であり,この成分により両者は区別することができる.
※ミドリハッカ葉(Menthae Crispae Folium)は健胃,駆風薬とされ,これから得られた精油(0.8%~2.5%:スペアミント油)はペパーミント油と同様うがい薬や菓子類に広く用いられる.この精油の約50%はcarvoneでありmentholは含まれない.
※ハッカはヨーロッパのセイヨウハッカの利用が東漸して中国に伝わり,用いだしたものと考えられている.ハッカはハッカ油(Oleum Menthae Japonicae)をとるため,北海道で多く栽培されている.
外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB
参考文献 選品
Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998.

主要成分
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp. 42-43.
遺伝子領域
Gene Region
Nuclear Chloroplast Mitochondria
基原 5Ss 18S ITS1 5.8S ITS2 26S others trnH-psbA matK trnK trnK-rps16 trnT-L trnL trnL-F rbcL rpoC1 ndhF others
Mentha arvensis var. piperascens Malinvaud [=Mentha canadensis (NCBI:txid294733)]
rpl16
 AY618532