山帰来
(さんきらい)
入手時名称:土茯苓 撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館 TMPW No.:1210 |
生薬別名 | 土茯苓 |
生薬ラテン名 | Smilacis Rhizoma |
生薬英名 | Smilax Rhizome |
科名 | ユリ科 Liliaceae |
基原 | Smilax glabra Roxburgh (IPNI:541462-1) |
薬用部位 | 塊茎 |
選品 | 外面が淡赤褐色、内面が粉白色のものがよく、腐朽したものや枯死した部分のあるものは良くない (文献Q1)。 |
主要成分 | 多糖類 polysaccharides - 澱粉 ステロイドサポニン及びサポゲニン steroid saponins & sapogenins - Smilax-saponin A (S. china) - Smilax-saponin B (S. china) - Smilax-saponin C (S. china) フェニルプロパノイド phenylpropanoids - 5-O-caffeoylshikimic acid (S. glabra) クロモン類 chromones - Eurryphin (S. glabra) フラバノンとジヒドロフラボノール flavanones & dihydroflavonols - Astilbin (S. china, S. glabra) - Engeletin (S. glabra) - Engeliten (S. china) - Smitilbin (S. glabra) - Taxifolin (S. china, S. glabra) |
薬理作用 | 抗炎症. 駆梅, 抗発癌 (エキス, resveratrol), 免疫性肝障害抑制 (eurryphin, resveratrol, Smitilbin, eugeletin, astilbin) |
臨床応用 | 利湿, 清熱, 解毒, 駆梅薬として, 慢性の皮膚疾患, 梅毒や水銀中毒による皮膚炎や筋骨の攣痛などに応用する. 急性肝炎に他薬の補助として使用する. |
頻用疾患 | 梅毒, 皮膚化膿症, 湿疹, 乾癬, 関節の腫脹・疼痛 |
含有方剤 | 八味帯下方 |
帰経 | 肝, 胃 |
性 | 平 |
味 | 甘, 淡 |
神農本草経 | |
中医分類 | 清熱解毒薬 |
薬能 | 除湿,解毒,通利関節.湿熱淋濁,帯下,廱腫,瘰癧,疥癬,梅毒及水銀中毒による肢体拘攣,筋骨疼痛に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 第十八改正日本薬局方収載品. 日本の「山帰来」は サルトリイバラ Smilax china L. の根茎である.この山帰来は古くから梅毒の治療薬として有名であり,日本では室町末期にすでに山帰来を用いたという記録があり,南アメリカから梅毒が渡ってきた直後にすでにその治療薬が開発されたことがうかがわれる.梅毒患者が人目をしのんで山に入り,この根を服用して治り,山から帰って来るというので山帰来の名があるとの俗説があるが,これはどうも怪しい.おそらく土茯苓の一名を山奇粮といい,この山奇粮がなまって山帰来になったのであろう (TN). 中国では S. china の根茎を「菝葜(ばっかつ)」にあて,利湿,利尿,消腫薬にする. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 13. C2) Planta Med., 65, 56-59 (1999). |