川貝母
(せんばいも)
生薬別名 | 川貝, 松貝, 青貝, 松川貝, 西貝 |
生薬ラテン名 | Fritillariae Cirrhosae Bulbus |
生薬英名 | Tendrilleaf Fritillary Bulb |
科名 | ユリ科 Liliaceae |
基原 | - Fritillaria cirrhosa D.Don (IPNI:535094-1) - Fritillaria unibracteata P.K.Hsiao et K.C.Hsia (IPNI:535351-1) - Fritillaria przewalskii Maximowicz ex Batalin (IPNI:535282-1) |
薬用部位 | 鱗茎 |
選品 | 外面が白く、裏面が黄褐色の小さなものが良いとされる (文献Q1)。 |
主要成分 | ステロイドアルカロイド steroidal alkaloids - Beilupeimine (白炉貝) - Chinpeimine (青貝) - Chuanbeinone (F. delavayi) - Peiminine (F. cirrhosa) - Sipeimine (西貝) - Sonpeimine (白松貝) - Verticine (F. cirrhosa) アルカロイド alkaloids - Fritimine (F. cirrhosa) - Minpeimine (岷貝) - Minpeiminine (岷貝) |
薬理作用 | 血圧降下(peimine). |
臨床応用 | 鎮咳,去痰,排膿薬として,煩熱,喉痺,目眩,咳嗽,口渇などに応用する.川貝は,潤肺,去痰,鎮咳の作用が強く,元気のない肺燥の咳嗽には川貝を用いる. |
頻用疾患 | 咳嗽, 乾咳, 咽痛, 少痰, 喀痰, 口渇, めまい |
含有方剤 | |
帰経 | 肺, 心 |
性 | 微寒 |
味 | 苦, 甘 |
神農本草経 | |
中医分類 | 化痰薬 |
薬能 | 清熱潤肺,化痰止咳,散結消癰.肺熱燥咳,干咳少痰,陰虚労嗽,痰中帯血,瘰癧,乳癰,肺癰に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 貝母は種類が多く,主なものには次のものがある. ・ 浙貝母 (浙貝) : Fritillaria thunbergii Miq. ・ 湖北貝母:F. hupehensis Hsiao et K.C. Hsia ・ 川貝母 (川貝) : F. cirrhosa D.Don, F. unibracteata Hsiao et K.C.Hsia, F. przewalskii Maxim. ・ 炉貝:F. delavayi Franch. ・ 伊貝母 (伊貝) : F. pallidiflora Schrenk, F. walujewii Regel ・ 平貝母 (平貝) : F. ussuriensis Maxim. これらは,『中華人民共和国薬典』にそれぞれ別の条項で収載される(炉貝は川貝母に含まれる).貝母は化痰薬とされるが大きく,浙貝母,湖北貝母のグループと川貝母,炉貝,伊貝,平貝のグループに分けられ,前者は咳嗽の他,瘰癧や癰腫瘡毒にも応用され,後者は陰虚や肺熱の咳嗽に応用される. 日本産貝母は浙貝母と同じアミガサユリ(バイモ)の鱗茎で奈良県で栽培され,「大和貝母」とも称される.烏頭類生薬といっしょに用いてはならない.川貝母の名前は『景岳全書』(1624年)に初見する. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK |
参考文献 | 選品 Q1) 一色 直太郎 編: 和漢薬の良否鑑別法及調製法, 吐鳳堂書店, 東京, 1987. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 71-73. C2) 生薬学概論, p. 336. C3) CA, 54, 22695 (1960). |