芥子
(がいし)
生薬別名 | 白芥子, 黄芥子 |
生薬ラテン名 | Sinapis Semen |
生薬英名 | Mustard Seed |
科名 | アブラナ科 Brassicaceae |
基原 | 白芥子 - シロガラシ Brassica alba Boissier (IPNI:279212-1) 黄芥子 - カラシ Brassica juncea Czernajew (IPNI:60442520-2) |
薬用部位 | 種子 |
選品 | 噛んで辛味の強いものほど良品 (文献Q1)。白芥子が品質が良いとされる。 |
主要成分 | 脂肪酸 fatty acids - Arachidic acid (脂肪油) - Erucic acid (脂肪油) - Linolenic acid (脂肪油) フェニルプロパノイド phenylpropanoids - Sinapic acid (B. juncea) - Sinapine (B. juncea) グリコシノレート glucosinolate - Sinalbin (B. hirta; 酵素 myrosinase により p-Hydroxybenzoyl isothiocyanateを生成) - Sinigrin (B. juncea, B. nigra; 酵素 myrosinase により Allyl isothiocyanate を生成) その他 others - Myrosinase (B. juncea) |
薬理作用 | 皮膚と粘膜に対する刺激作用(芥子油). |
臨床応用 | 刺激,引赤,去痰薬として芥子泥(脱脂カラシと水を混ぜてねったもの)を神経痛,肺炎などの局所に貼付外用する.その他,香辛料,揮発芥子油の原料などに多く用いられる. |
頻用疾患 | 神経痛, 肺炎, 痰, 咳嗽, 関節の腫脹・疼痛 |
含有方剤 | 清湿化痰湯 |
帰経 | 肺 |
性 | 温 |
味 | 辛 |
神農本草経 | |
中医分類 | 化痰薬 |
薬能 | 温肺豁痰利気,散結通絡止痛.寒痰咳嗽,胸脇脹痛,痰滞経絡,関節麻木、疼痛,痰湿流注,陰疽腫毒に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 芥子は第8改正日本薬局方(1971年)まで収載された.そこでは B. juncea およびその品種の種子を規定している.広義のカラシ B. juncea(n=18) はアブラナ B. rapa L.(n=10) とクロガラシ B. nigra (L.) W. D. J. Koch (n=8)が自然交雑してできた複2倍体種で,起源地は中近東や中央アジアだといわれている.中国では芥子をとる狭義のカラシ(var. juncea)以外に辛味のある葉や茎を食用にするハカラシナ(var. integrifolia Sinskayaや var. multisecta L. H. Bailey),根を食用にするネカラシナ(var. megarrhiza Tsen et Lee),葉身の基部や葉柄が肥大したザーサイ(搾菜:var. tumida Tsen et Lee)などもつくられた.クロガラシは野菜用やカラシと同じ薬用に,中近東や地中海地方で栽培される.クロガラシの種子が黒芥子である.証類本草27巻では,名医別録から収載されている「芥」ならびに開宝本草から収載された「白芥」があり,ここでは「芥」を採用した. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 232-233. C2) 生薬学概論, p. 293. |