訶子
(かし)
入手時名称:訶子 撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館 TMPW No.:1803 |
生薬別名 | 訶梨勒, Helile, Haritaki, A-ru, A-ru-la |
生薬ラテン名 | Chebulae Fructus |
生薬英名 | Myrobalan Fruit |
科名 | シクンシ科 Combretaceae |
基原 | Terminalia chebula Retzius (IPNI:171037-1) |
薬用部位 | 成熟果実(核を取り除いた訶子肉は,タンニンの含量がやや多い) |
選品 | 皮殻が黒くて、内部の実が多く、味の渋いものが良いとされる (文献Q1)。 |
主要成分 | タンニン tannins - Chebulic acid - Ellagic acid - Gallic acid - Luteolic acid |
薬理作用 | 抗菌(煎液:ブドウ球菌,チフス菌),抗ウイルス(エキス:単純ヘルペスウイルスなど),抗HIV,抗動脈硬化,免疫調節作用. |
臨床応用 | 収斂,止瀉,止血,鎮咳薬として,慢性喉頭炎,喉頭結核,腸出血,痔漏出血,子宮出血,慢性子宮炎,帯下,その他各種の痢疾に応用する. |
頻用疾患 | 下痢, 泥状水様便, 脱肛下血, 呼吸困難, 咳嗽, 失音, 嗄声, 不正性器出血, 帯下, 頻尿, 精液漏れ |
含有方剤 | 響声破笛丸 |
帰経 | 肺, 大腸 |
性 | 平 |
味 | 苦, 酸 |
神農本草経 | |
中医分類 | 固渋薬 (収渋薬) |
薬能 | 渋腸斂肺,降火利咽.久瀉久痢,便血脱肛,肺虚喘咳,久嗽不止,咽痛音唖に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 日本薬局方外生薬規格2018収載品. アーユルヴェーダ(インド医学)における主要薬物の一つで,生薬名を「ハリータキー」という.果実の形や産地の異なる7種類のハリータキーがあるとされ,ヒマラヤ産で丸い Vijaya が最良とされる.インドでは慢性便秘,慢性潰瘍,消化不良,気管支炎,咳,喘息,かすれ声,下痢,寄生虫,出血など種々の疾患に応用される.ハリータキーに,アーマラカ(余甘子),ヴィビータカ(毛訶子)を集めたものをトリパラ(三果)といい,散剤,飲料,その他の剤形として強壮や抗老化に用いられる.この薬物はチベットへ伝わり,チベット生薬名を「アルラ A-ru-la」または「アルー A-ru」という.チベット医学では一切の疾病を治す万能薬とされ,薬師如来の象徴とされる.中国では,唐代に著された『新修本草』に「訶梨勒」の名で初めて収載されるが,それ以前に伝わり,用いられていた可能性がある.「訶梨勒」は日本へも奈良時代に鑑真和尚によってもたらされている. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 一色 直太郎 編: 和漢薬の良否鑑別法及調製法, 吐鳳堂書店, 東京, 1987. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 246-247. |