麝香
(じゃこう)
入手時名称:麝香 撮影場所:富山大学 和漢研 民族薬物資料館 TMPW No.:9087 |
生薬別名 | |
生薬ラテン名 | Moschus |
生薬英名 | Musk |
科名 | シカ科 Cervidae |
基原 | ジャコウジカ Moschus moschiferus Linné (GBIF:2440988) |
薬用部位 | 雄の麝香腺分泌物 |
選品 | 香気が強烈で、当門子のあるものが良質。軟質でアンモニア臭の強い、湿った感の強いものは劣品 (文献Q1)。 |
主要成分 | 脂肪酸 fatty acids - unspecified その他の脂肪族関連化合物 other aliphatic and related compounds - Muscone - Normuscone ステロイド steroids - Androst-4-one-3,17-dione - Androsta-4,6-diene-3,17-dione - 3α-Hydroxy-5α-androstane-17-one - 3α-Hydroxy-5β-androstane-17-one - 3β-Hydroxy-5α-androstane-17-one - 3β-Hydroxyandrost-5-en-17-one - 5α-Androstane-3,17-dione - 5α-Androstane-3β,17α-diol - 5β-Androstane-3,17-dione - 5β-Androstane-3α,17α-diol - 5β-Androstane-3α,17β-diol ステロール sterols - Cholest-4-en-3-one - Cholestanol - Cholesterol ピリジンアルカロイド pyridine alkaloids - Muscopyridine その他の含硫化合物 other sulfur compounds - Musclide A1 - Musclide A2 - Musclide B |
薬理作用 | 心機能亢進作用, 血圧降下作用, 男性ホルモン様作用, 抗炎症作用. |
臨床応用 | 興奮,強心,鎮痙,鎮静,排膿,解毒薬として,神昏してうわごとするもの,小児の驚癇,神経衰弱症,心腹痛,打撲損傷,その他危急の症に応用する.また日本では,家庭薬製剤原料としての用途が多い |
頻用疾患 | 神経衰弱, 腹痛, 打撲, 中風, 経閉, 気鬱, 咽喉痛, 麻痺 |
含有方剤 | |
帰経 | 心, 脾, 腎 |
性 | 温 |
味 | 辛 |
神農本草経 | 上品 |
中医分類 | 開竅薬 |
薬能 | 開窮醒神, 活血通経, 消腫止痛. 熱病神昏, 中風痰厥, 気郁暴厥, 中悪昏迷, 経閉, ちょうか, 難産死胎, 心腹暴痛, 癰腫瘰癧, 咽喉腫痛, 跌捕傷痛, 痺痛麻木に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 市販品は通常 「玉麝香」 と 「身麝香」 がある. 1)玉麝香は中国では整麝香,整香,毛香などと称され,袋状腺嚢,いわゆる麝香嚢に入ったものである.日本に輸入されるものはネパールもしくはチベット産の 「本口手」 と称されるものがほとんどで,わずかに中国雲南,四川省の 「雲南手」 がある. 2)身麝香は,中国で麝香仁,散香と称されて,麝香嚢内に包蔵されている中身である.芳香が濃厚で,久しく香りを聞くと独特の有騒性の香味が感じられ,味はやや苦く,口から鼻にぬける香味があるものが佳品である.現在市販の麝香はすべて人工的な加工が施され,純品はないが,そのうちでも化学的評価法によって muscone 2%以上,C19-steroid 0.5%以上のものは一応信頼しべき麝香であるとされている.高級香水にも配合される. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp. 273-276. |