没食子
(もっしょくし)
生薬別名 | 無食子 |
生薬ラテン名 | Galla Halepensis |
生薬英名 | Aleppo Galls |
科名 | ブナ科 Fagaceae |
基原 | Quercus infectoria Oliver (IPNI:296305-1) |
薬用部位 | 虫えい |
選品 | |
主要成分 | タンニン tannins - Cyclogallipharic acid - Ellagic acid - Gallic acid - Pentagalloylglucose - m-Digallic acid |
薬理作用 | 収斂作用(tannin). |
臨床応用 | 収斂,止血薬として,久しく続いた下痢,夢精,盗汗,外傷出血などに応用されたが,現在では全く薬用とせず,タンニン製造原料とする.工業的には,皮なめし剤,インク製造原料とする. |
頻用疾患 | 出血, 下痢, 盗汗, 外傷出血 |
含有方剤 | |
帰経 | |
性 | |
味 | |
神農本草経 | |
中医分類 | 収渋薬 |
薬能 | |
薬徴 | |
備考 | 本品はブナ科 (Fagaceae) の Quercus infectoria Olivier (= Q. lusitanica Lamarck var. infectoria Alph. DC.) の若芽や稚枝に,膜翹目 (Hymenoptera) のタマバチ(フシバチ)科(没食子蜂科,Cynipidae)のインクフシバチ Cynips tinctoria Hartig (= C. gallae tinctoriae Olivier, Adleria gallae tinctoriae Olivier) 没食子蜂が寄生し,産卵し,幼虫の腺分泌物により植物組織に成長刺激が起こり,それによって生じた虫えい (Galls) を乾燥したもの.夏期に上記昆虫が,幼若な葉の間に産卵し,幼卵が孵化して幼虫に発育するに従い,その周囲の細胞が迅速に分裂して膨起し,漸次没食子となる.その最内層には幼虫の養分が蓄蔵されている.幼蜂は成熟すると没食子の皮壁に小孔を穿って飛去する.通常8~9月に未穿孔の虫えいを採収する. 本品はシリアの Aleppo から輸出されるので,Aleppo Galls の名がある.その他 Turkey Galls, Levant Galls とも呼ばれる.その他,Quercus sp. に Cynips polycera が寄生して作る,小型の Crown Galls があり,これも Aleppo に集散され Aleppo Galls に稀に混入される.また Quercus cerris L. に Cynips moreae Graeffe が寄生して生じたものを Morean Galls と称し,ギリシャに産する.Quercus robur L. に Adleria kollari Hartig が寄生して生じたものは English Galls という. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK |
参考文献 | 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp. 221-223. |