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石蓮子
石蓮子
(せきれんし)
生薬別名 蓮実
生薬ラテン名 Nelumbinis Fructus
生薬英名 Lotus Fruit
科名 スイレン科 Nymphaeaceae
基原 ハス Nelumbo nucifera Gaertner (IPNI:605422-1)
薬用部位 成熟果実
選品 中国では湖南省産が良質である。
主要成分 少糖類 oligosaccharides
- Raffinose (種子)

多糖類 polysaccharides
- 澱粉 (種子)

アルカロイド alkaloids
- Higenamine (幼芽)
- Isoliensinine (幼芽)
- Liensinine (幼芽)
- Liriodenine (花床)
- Lotusine (幼芽)
- N-Nornuciferine (幼芽, 花床)
- Neferine (幼芽)
- Norarmepavine (花床)
- Nuciferine (花床)
- O-Methylcorypalline (幼芽)
- O-Nornuciferine (幼芽)
- Pronuciferine (幼芽)
薬理作用 冠状血管拡張作用(methlcorypalline).子宮平滑筋弛緩作用(demethylcoclaurine).
臨床応用 下痢,嘔吐などのため食欲の全くない状態を治すのに用いる.一般には堅い殻を去って「蓮肉」として用いる.その際芯を去って用いる.
頻用疾患 細菌性下痢, 慢性下痢, 嘔吐, 食欲不振
含有方剤
帰経 脾, 腎, 心
甘, 渋
神農本草経  
中医分類 収渋薬
薬能 補脾止瀉,止帯,益腎渋精,養心安神.脾虚泄瀉,帯下,遺精,心悸失眠に用いる.
薬徴  
備考 ハスは果実(生薬名「石蓮子」,以下同様)や種子(「蓮肉」)以外にも,幼芽(「蓮子心」:成熟種子中の芯の部分にある),果托(「蓮房」),雄蕊(「蓮鬚」),葉(「荷葉」),根茎の節部(「藕節」)などが薬用に供される.これらの生薬は『中華人民共和国薬典』に別項で収載される.
※蓮子心(Nelumbinis Embryo, Nelumbinis Plumula)は清心,解熱の効があり,また安神,止渇の作用があり,心煩,口渇,吐血,遺精などを治す.『薬典』では,「清心安神,交通心腎,渋精止血.熱入心包,神昏譫語,心腎不交,失眠遺精,血熱吐血に用いる.」とされる.
※蓮房(Nelumbinis Receptaculum)は化お止血薬として,崩漏,血尿,痔瘡出血,産後のお阻などに応用する.
※藕節(Nelumbinis Rhizomatis Nodus)は止血,消お薬として,吐血,喀血,衂血(鼻血),血尿,崩漏に応用する.
その他の同類生薬については,別項参照.
※現在中国市場の石蓮子には甜と苦の2種のものがあり,甜石蓮はハスの果実で正品であるが,苦石蓮はマメ科(Leguminosae)の Caesalpinia minax Hce. の種子で,俗に老鴉枕頭と称し,雲南,広西省に産するもので代用になり得ない.
外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK
参考文献 主要成分
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 216-217.