款冬花
(かんとうか)
入手時名称:冬花 撮影場所:富山大学 和漢研 民族薬物資料館 TMPW No.:11268 |
生薬別名 | 欵冬花, 款冬葉,款冬根,和款冬花,蕗の薹, 霊台冬花, 山西冬花 |
生薬ラテン名 | Farfarare Flos |
生薬英名 | Coltsfoot Flower |
科名 | キク科 Asteraceae (=Compositae) |
基原 | フキタンポポ Tussilago farfara Linné (IPNI:256904-1) |
薬用部位 | 花蕾 |
選品 | 半開の花蕾のみで、土気のない新しいものが良いとされる (文献Q1)。 |
主要成分 | 脂肪酸 fatty acids - Caproic acid (P. japonicus) - Caprylic acid (P. japonicus) その他の脂肪族関連化合物 other aliphatic and related compounds - Angelic acid (P. japonicus) - Butylaldehyde (P. japonicus) - Parafin (T. farfara) - Terpineol (P. japonicus) - l-Nonane (P. japonicus) 単糖類 monosaccharides - D-Fructose (P. japonicus) - D-Glucose (P. japonicus) セスキテルペノイド sesquiterpenoids - Bakkenolide A (P. japonicus) - Bakkenolide B (P. japonicus) - Bakkenolide C (P. japonicus) - Bakkenolide D (P. japonicus) カロテノイド carotenoids - Taraxanthin (T. farfara) ステロール sterols - Faradiol (T. farfara) - l-Phytosterol (T. farfara) フラボンとフラボノール flavones & flavonols - Kaempferol (P. japonicus) - Quercetin (P. japonicus) タンニン tannins - unspecified (T. farfara) その他 others - KCl (P. japonicus) - 苦味質 (P. japonicus) |
薬理作用 | 解熱作用 (水エキス). |
臨床応用 | 鎮咳,去痰薬として,咳嗽,喉痺,肺廱,肺痿,吐血などに応用する |
頻用疾患 | 咳嗽, 痰に血が混ざる |
含有方剤 | 補肺湯 , 射干麻黄湯 |
帰経 | 肺 |
性 | 温 |
味 | 辛, 微苦 |
神農本草経 | |
中医分類 | 止咳平喘薬 |
薬能 | 潤肺下気,止咳化痰.新久咳嗽,喘咳痰多,労嗽咳血に用いる. |
薬徴 | |
備考 | フキタンポポの根生葉を「款冬葉」, 根を「款冬根」と称し, 款冬花と同様, 咳止め, 去痰薬とする.フキタンポポはユーラシア大陸に広く分布するもので, ヨーロッパにおいては, その葉をファルファラ葉 (Farfarae Folium) と称し, 気管支カタルなどの咳止めに用いられている. 古くDioscoridesも「その葉をたたいたものを, 皮膚の発赤, 丹毒その他凡べての炎症に対し局所に塗れば, これを治す. 乾燥させた葉をいぶして, その煙を管に通して吸いこめば, 乾咳や短期で起坐呼吸をしている人を治す. それはまた肺の膿腫を喀出させる.根をいぶした煙にも同様な効果がある. 根を蜂蜜水で煮たものを飲むと死んだ胎児を堕す」といっており, 以来この薬効が踏襲されている. 日本産の「和款冬花」はキク科のフキPetasites japonicus (Sieb. et. Zucc.) Maxim.の花蕾. 通常「蕗の薹」と称し市販される.このものも民間的に鎮咳, 去痰薬とされる. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 一色 直太郎 編: 和漢薬の良否鑑別法及調製法, 吐鳳堂書店, 東京, 1987. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp. 128-130. C2) 生薬学概論, p. 221. |