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弟切草
弟切草
(おとぎりそう)
生薬別名 小連翹
生薬ラテン名 Hyperici Erecti Herba
生薬英名 Hypericum Herb
科名 オトギリソウ科 Clusiaceae
基原 オトギリソウ Hypericum erectum Thunberg (IPNI:927425-1)
薬用部位 開花期の全草
選品  
主要成分 セスキテルペノイド sesquiterpenoids
- Gurjunen (H. perforatum)

アントラキノン anthraquinones
- Hypericin (H. erectum, H. perforatum)
- Hyperico-dehydrodianthron (H. perforatum)
- Protohypericin (H. perforatum)
- Pseudohypericin (H. perforatum)

フラボンとフラボノール flavones & flavonols
- Hyperoside (H. perforatum)
- Quercetin (H. perforatum)
薬理作用 モノアミンオキシダーゼ阻害,ミトコンドリアの呼吸阻害活性,C-キナーゼ依存性リン酸化反応阻害活性,レトロウイルス増殖阻害作用,光増感作用(hypericin)
臨床応用 止血,収斂,含嗽薬として煎剤を外用する.鮮葉および茎の搾汁は創傷,打撲傷,痔などに外用する.その他花を乾燥したものを黄疸,水腫に煎服する.
頻用疾患 切り傷, 打撲外傷, 出血, 痔
含有方剤
帰経  
 
 
神農本草経  
中医分類  
薬能  
薬徴  
備考 Hypericin は皮膚炎の原因となるので生汁は内服してはいけない.徳島の民間では全草の乾燥品を細切し,酒に浸して中風,リウマチ,神経痛の予防薬としている.同類生薬のセント・ジョーンズ・ワートは『セイヨウオトギリソウ』の地上部で,ヨーロッパにおいて更年期の抑うつ状態,神経的な興奮の治療薬として内用し,切り傷,神経痛の痛み,火傷などに外用する.健康食品として日本にも流通しており,ストレス解消などの効果があるとされる.最近これを含量する製品を摂取することにより,薬物代謝酵素であるチトクローム P450 のサブタイプ CYP3A4 および CYP1A2 が誘導されることが知られており,医薬品との相互作用(効果の減少)に関して注意が喚起されている.注意すべき医薬品は次のとおり:HIVプロテアーゼ阻害剤(インジナビル,サキナビル,リトナビル,ネルフィナビル),HIV逆転写酵素阻害剤(エファビレンツ,ネビラピン),ワルファリン,ジゴキシン,テオフィリン,シクロスポリン,抗てんかん薬(フェニトイン,カルバマゼピン,フェノバルビタール),経口避妊薬,マレイン酸フルボキサミン.
外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK
参考文献 主要成分
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. II, pp. 8-9.