鬱金
(うこん)
入手時名称:郁金 撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館 TMPW No.:19147 |
植物名:Curcuma longa 撮影場所:中国, 雲南省 撮影日時:1992 撮影者:小松かつ子 |
生薬別名 | 欝金, 姜黄 |
生薬ラテン名 | Curcumae Longae Rhizoma |
生薬英名 | Turmeric |
科名 | ショウガ科 Zingiberaceae |
基原 | ウコン Curcuma longa Linné (IPNI:796451-1) |
薬用部位 | 根茎 |
選品 | 質が堅く、外面鮮黄かっ色で、横切面の黄色が濃いものが良品。また芳香、辛味ともに強いものが良品 (文献Q1)。 |
主要成分 | モノテルペノイド monoterpenoids - Camphene (C. wenyujin) - Camphor (C. wenyujin) - Cineole (C. longa) - d-α-Phellandrene (C. longa) セスキテルペノイド sesquiterpenoids - Curcumol (C. wenyujin) - Curdione (C. wenyujin) - Wenjiine (C. wenyujin) - Zingiberene (C. longa) - d-ar-Turmerone (C. longa) - α-Turmerone (C. longa) - β-Turmerone (C. longa) ジアリールヘプタノイド diarylheptanoids - Bisdemethoxycurcumin (C. longa) - Curcumin (C. longa) - Demethoxycurcumin (C. longa) |
薬理作用 | 唾液分泌と胃運動亢進 (精油). 胆汁分泌, 排出の促進 (curcumin, turmerone, cineole). 抗炎症 (curcumin). 抗腫瘍 (curcumin, ar-turmerone). 胆汁分泌 (curcumin, cineole). 血管弛緩作用. |
臨床応用 | 利胆, 芳香性健胃薬として, 肝炎, 胆道炎, 胆石症, カタル性黄胆などに用い, また止血, 通経薬として, 吐血, 尿血, 経閉痛, 胸脇部の痛み, 腹痛などに応用する. |
頻用疾患 | 急性肝炎, 慢性肝炎, 胆石症, 黄疸, 胸脇が張って痛む, 狭心痛, 乳房が張って痛む, 腹痛, 月経痛, 吐血, 鼻出血, 血尿, 意識障害, 高熱, 癲癇発作, 狂躁 |
含有方剤 | 中黄膏 |
帰経 | 心, 肺, 肝 |
性 | 涼 |
味 | 辛, 苦 |
神農本草経 | |
中医分類 | 理血薬 (活血去瘀薬) |
薬能 | 破血行気, 通経止痛, 胸肋刺痛, 閉経, 癥瘕, 風湿肩臂疼痛, 跌撲, 腫痛に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 第十八改正日本薬局方収載品. 中国では Curcuma 属植物の地下部を根茎と塊根とに分け, 別名で呼ぶ.Curcuma longa Linn. の根茎は「姜黄」で塊根は「黄絲郁金」, C. wenyujin Y. H. Chen et C. Ling の根茎は縦切片にしたものを「片姜黄」, 丸ごとのままを「温莪朮」と称し, 塊根は「温郁金」という. C. phaeocaulis Val. の根茎は「蓬莪朮」で塊根は「緑絲郁金」, C. kwangsiensis S. G. Lee et C. F. Liang の根茎は「広西莪朮」で塊根は「桂郁金」と称す. 『中華人民共和国薬典』によれば,「姜黄, Rhizoma Curcumae Longae」は性味が辛苦・温で, 破血行気, 通経止痛の効があり, また「片姜黄, Rhizoma Wenyujin Concisum」も同様な性味と薬効が記載されている. 一方, 中国の「郁金, Radix Curcumae」には黄絲郁金, 温郁金, 緑絲郁金, 桂郁金が含まれ, 性味が辛苦・寒で, 行気化お, 清心解鬱, 利胆退黄の効があり, 経閉痛経, 胸腹脹痛, 刺痛, 熱病神昏, 癲癇発狂, 黄疸尿赤に用いると記載されている. 一方, 日本国内では中国産生薬を用いているのだが, C. longa の根茎を「鬱金, Curcumae Rhizoma」, 塊根を「玉金(川玉金), Curcumae Radix」と呼ぶ.したがって, 中国でいう「姜黄」を日本では「鬱金」と称しているわけである. 中国の「郁金」には4種の原植物があるので, 日本でいう「玉金」も原植物は4種類ある可能性がある. 沖縄などでは ウコン C. longa と ハルウコン C. aromatica Salisb. が栽培されている. 各々の根茎は健康食品としても需要がある. 鬱金はカレー粉の原料, 食品の着色料, 指示薬としてクルクマ紙, クルクマチンキとしても用いる. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 176-179. C2) Chem. Pharm. Bull., 39, 843 (1991). C3) Chem. Pharm. Bull., 39, 854 (1991). |
遺伝子領域
Gene Region | |||||||||||||||||||
Nuclear | Chloroplast | Mitochondria | |||||||||||||||||
基原 | 5Ss | 18S | ITS1 | 5.8S | ITS2 | 26S | others | trnH-psbA | matK | trnK | trnK-rps16 | trnT-L | trnL | trnL-F | rbcL | rpoC1 | ndhF | others | |