木香
(もっこう)
入手時名称:唐木香 撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館 TMPW No.:4425 |
生薬別名 | 唐木香, インド木香, 広木香, 雲木香, 老木香 |
生薬ラテン名 | Saussureae Radix |
生薬英名 | Saussurea Root |
科名 | キク科 Asteraceae (=Compositae) |
基原 | Saussurea lappa C.B.Clarke (IPNI:242388-1) |
薬用部位 | 根 |
選品 | よく肥大し、内部の充実した香りの強いものが良品 (文献Q1)。 |
主要成分 | 脂質 lipids - Aplotaxene セスキテルペノイド sesquiterpenoids - Alantolactone - Costunolide - Dehydrocostus lactone - Dihydrocostunolide - Isoalantolactone - Isodehydrocostus lactone - Isozaluzanin C - Mokkolactone - Saussurea lactone - Saussureal - α-Costol - β-Costol - α-Ionone - β-Costic acid - β-Cyclocostunolide - γ-Costol トリテルペノイド triterpenoids - Betulin ステロール sterols - Stigmasterol |
薬理作用 | 抗菌作用(精油成分:連鎖球菌,ブドウ球菌),気管拡張,平滑筋弛緩作用(saussurine). |
臨床応用 | 健胃,整腸薬として,嘔吐,腹痛,下痢,消化不良,寄生虫病などに応用する.薫香料にも用いられる. |
頻用疾患 | 腹満,腹痛,悪心,嘔吐,便秘,下痢,テネスムス,消化不良,食欲不振 |
含有方剤 | 烏苓通気散 , 加味帰脾湯 , 栝楼枳実湯 , 枳縮二陳湯 , 帰脾湯 , 芎帰調血飲第一加減 , 九味檳榔湯 , 香砂養胃湯 , 牛膝散 , 椒梅湯 , 十六味流気飲 , 参蘇飲 , 喘四君子湯 , 銭氏白朮散 , 丁香柿蒂湯 , 女神散 , 分消湯 |
帰経 | 脾, 大腸 |
性 | 温 |
味 | 辛, 苦 |
神農本草経 | 上品 |
中医分類 | 理気薬 |
薬能 | 行気止痛,健脾消食.胸胃脹痛,瀉痢後重,食積不消,不思飲食に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 第十八改正日本薬局方収載品. キク科(Compositae)の Aucklandia lappa の根に由来する木香が正品で,古代には「青木香」と称した.現在の青木香は,ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)のウマノスズクサ Aristolochia debilis Sieb. et Zucc. および マルバウマノスズクサ A. contorta Bunge の根である. 川木香はキク科の Vladimiria souliei (Franch.) Ling の根で,通常根頭部を焼いて調製する.かつてこれを Inula racemosa Hook.f.(蔵木香)に充てたことがあったが誤りである.土木香はキク科のオオグルマ Inula helenium L. の根である.その他中国市場の「越西木香」は Vladimiria denticulata Ling の根である. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 40-42. C2) Chem. Pharm. Bull., 12, 632 (1964). C3) Tetrahedron, 13, 319 (1961). C4) Phytochemistry, 31, 336 (1992). |