山薬
(さんやく)
入手時名称:山薬 撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館 TMPW No.:18383 |
生薬別名 | 淮山薬, 淮山, 懐山薬, 光山薬, 毛条山薬 |
生薬ラテン名 | Dioscoreae Rhizoma |
生薬英名 | Dioscorea Rhizome |
科名 | ヤマノイモ科 Dioscoreaceae |
基原 | - ヤマノイモ Dioscorea japonica Thunberg (IPNI:927492-1) - ナガイモ Dioscorea batatas Decaisne (IPNI:317698-1) |
薬用部位 | 周皮を除いた根茎(担根体) |
選品 | 充実し、白く滑らかで、虫蝕のないものが良品 (文献Q1)。 |
主要成分 | 多糖類 polysaccharides - Glucoprotein - Mannan - 澱粉 ステロール sterols - unspecified アミノ酸 amino acids - Arginine - Isoleucine - Leucine - Lysine - Phenylalanine - Valine 簡単な含窒素化合物 simple nitrogen containing compounds - Choline その他の含窒素化合物 other nitrogen compounds - Allantoin |
薬理作用 | 未詳 |
臨床応用 | 滋養強壮,止渇,止瀉薬として,脾胃虚弱,食欲不振,身体疲労,腸炎,夜尿,盗汗などに応用する. |
頻用疾患 | 食欲不振,元気がない,泥状水様便,腹満,腸炎,口渇,精液漏れ,頻尿,夜尿症,盗汗,帯下 |
含有方剤 | 鶏肝丸 , 啓脾湯 , 杞菊地黄丸 , 牛車腎気丸 , 参苓白朮散 , 知柏地黄丸 , 八味地黄丸 , 味麦地黄丸 , 六味丸 |
帰経 | 脾, 肺 |
性 | 微温 |
味 | 甘 |
神農本草経 | 上品 |
中医分類 | 補養薬 (補気薬) |
薬能 | 補脾養胃,生津益肺,補腎渋精.脾虚食少,久瀉不止,肺虚喘咳,腎虚遺精,帯下,尿頻,虚熱消渇に用いる. |
薬徴 | |
備考 | 第十八改正日本薬局方収載品. 日局17には ヤマノイモ Dioscorea japonica と ナガイモ D. batatas が,『中華人民共和国薬典 2015年版』には D. opposita がそれぞれ規定される.河南省の山薬は「淮山薬」,「淮山」と称され,D. opposita に由来し,一方広西壮族自治区の山薬は ダイジョ D. alata L. に由来する. 日本産の山薬は食用として栽培されたナガイモを原料とする.ナガイモは食用として広く栽培され,多数の品種がある.品種はナガイモ群,イチョウイモ群,丹波イモ群に大別される.ヤマノイモとの中間型もある. 台湾産の山薬は D. alata L. や D. doryphora Hance,その他偽品としてヒルガオ科 (Convolvulaceae)の アメリカイモ Ipomoea batatas (L.) Poir の塊根がある. 日本産と中国産では加工方法にも違いがあり,日本産は皮を剥いだ後そのまま加熱乾燥するが,中国産は圧縮して水分をある程度除去して乾燥する(毛条山薬)かまたはチョーク状に加工する(光山薬).日本産の品質が良いとされる. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, p. 22. C2) 生薬学概論, p. 333. |