杏仁
(きょうにん)
入手時名称:キョウニン 撮影場所:富山大学 和漢医薬学総合研究所 民族薬物資料館 TMPW No.:11445 |
植物名:Prunus armeniaca var. ansu 撮影場所:日本, 長野県 撮影日時:1984 撮影者:小松かつ子 |
生薬別名 | 苦杏仁,苦北杏仁,龍王大南杏仁 |
生薬ラテン名 | Armeniacae Semen |
生薬英名 | Apricot Kernel |
科名 | バラ科 Rosaceae |
基原 | - ホンアンズ Prunus armeniaca Linné (IPNI:729463-1) - アンズ Prunus armeniaca var. ansu Maximowicz - Prunus sibirica Linné (IPNI:324747-2) |
薬用部位 | 種子 |
選品 | よく肥厚して大粒で、内部が白色のものが良い。外種子を除いて用いる (文献Q1)。 |
主要成分 | 脂質 lipids - Oleic acidのグリセライド ペプチド peptides - Emulsin - 抗炎症性タンパク 青酸化合物 cyanogenic compounds - Amygdalin |
薬理作用 | 解熱,気管平滑筋弛緩,鎮咳,抗炎症,駆虫,殺菌作用. |
臨床応用 | 鎮咳,去痰,利水薬として,喘息,咳,呼吸困難,心下膨満,浮腫,腸燥便秘などに応用する. |
頻用疾患 | 喘息, 咳嗽, 呼吸困難, 多痰, 浮腫, 便秘 |
含有方剤 | 華蓋散 , 杏蘇散 , 桂枝加厚朴杏仁湯 , 桂麻各半湯 , 外台四物湯加味 , 五虎湯 , 柴梗半夏湯 , 紫円 , 小青竜湯加杏仁石膏 , 小続命湯 , 神秘湯 , 潤腸湯 , 清肺湯 , 続命湯 , 大青竜湯 , 茯苓杏仁甘草湯 , 麻黄加朮湯 , 麻黄湯 , 麻黄連軺赤小豆湯 , 麻杏甘石湯 , 麻杏薏甘湯 , 麻子仁丸 , 苓甘姜味辛夏仁湯 |
帰経 | 肺, 大腸 |
性 | 温 |
味 | 苦 |
神農本草経 | 中品 |
中医分類 | 化痰止咳薬 |
薬能 | 降気,止咳平喘,潤腸通便.咳嗽気喘,胸満痰多,血虚津枯,腸燥便秘に用いる. |
薬徴 | 胸間停水を主治するなり。故に喘咳を治す。傍ら短気,結胸,心痛,形体浮腫するを治す。 |
備考 | 第十八改正日本薬局方収載品. 『日本薬局方』では「杏仁」の基源として,ホンアンズ P. armeniaca と変種の アンズ P. armeniaca var. ausu と モウコアンズ P. sibirica L. の種子が規定されているが,『中華人民共和国薬典』では「苦杏仁」の基源としてこれらの他に マンシュウアンズ P. mandshurica (Maxim.) Koehne の種子が規定されている.中国では専ら食用とされる「甜杏仁」を,薬用の「苦杏仁」と分けている.両者は種子の amygdalin の含量に違いがあり,苦杏仁は3~5%, 甜杏仁は0.11%である.この amygdalin は杏仁中に共存している β-glucosidase の emulsin などの作用によって mandelonitrile になり,最終的に benzaldehyde, glucose, hydrocyanic acid を生成する.「キョウニン水」(杏仁水)はこの benzaldehyde とhydrocyanic acid を主成分とした製剤で,鎮咳,去痰薬とされる.「キョウニン水」は杏仁の脂肪油を除いて水蒸気蒸留を行って製す.Purunus属で同じように amygdalin(約2%)を含む種子類生薬に「桃仁」がある.杏仁は上焦に用い,行気及び水を巡らす作用があり,気滞を伴う便秘に用いるのに対し,桃仁は下焦に用い行血作用があり,血瘀を伴う便秘に用いる. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB |
参考文献 | 選品 Q1) 難波 恒雄, 津田 喜典 編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 270-272. |
遺伝子領域
Gene Region | |||||||||||||||||||
Nuclear | Chloroplast | Mitochondria | |||||||||||||||||
基原 | 5Ss | 18S | ITS1 | 5.8S | ITS2 | 26S | others | trnH-psbA | matK | trnK | trnK-rps16 | trnT-L | trnL | trnL-F | rbcL | rpoC1 | ndhF | others | |