伝統医薬データベース　黄連　生薬学術情報

黄連

（おうれん）

入手時名称：黄連
撮影場所：富山大学　和漢医薬学総合研究所　民族薬物資料館
TMPW No.：1252

植物名：Coptis japonica var. japonica
撮影場所：日本, 石川県
撮影日時：1991
撮影者：小松かつ子

生薬別名	丹波黄連, 越前黄連, 因州黄連, 味連, 雅連
生薬ラテン名	Coptidis Rhizoma
生薬英名	Coptis Rhizome
科名	キンポウゲ科 Ranunculaceae
基原	- オウレン Coptis japonica Makino (IPNI:710316-1) - Coptis chinensis Franchet (IPNI:710313-1) - Coptis deltoidea C.Y.Cheng et Hsiao - Coptis teeta Wallich (IPNI:710326-1)
薬用部位	根をほとんど除いた根茎
選品	太くて堅実で、内部が濃黄色を呈し、苦味の強いものが良品。毛黄連はひげ根で苦味が少なく劣品 (文献Q1)。
主要成分	フェニルプロパノイド phenylpropanoids - Ferulic acid イソキノリンアルカロイド isoquinoline alkaloids - Berberine - Coptisine - Jateorrhizine - Magnoflorine - Palmatine - Tetrahydroberberine - Tetrahydropalmatine - Worenine
薬理作用	抗菌作用 (広い抗菌スペクトル, berberine); 止瀉作用 (berberine).
臨床応用	消炎性苦味健胃, 鎮静薬として, 充血または炎症があって, 心中が煩し, 心悸亢進し, 精神不安があり, 心下部が痞え, 嘔吐, 下痢, 腹痛, 出血などの症状をあらわす疾病に応用する.
頻用疾患	下痢, 腹満, 嘔吐, 胸が苦しい, 口渇, 尿量減少, 高熱, 意識障害, 吐血, 鼻出血, 焦躁, 不眠, 口内炎, 歯痛, 歯齦出血, 胃痛, 目の充血, 咽喉の腫脹疼痛, 皮膚化膿症, 中耳炎, 眼痛
含有方剤	胃苓湯 , 温清飲 , 温胆湯 , 黄連阿膠湯 , 黄連解毒湯 , 黄連湯 , 加減涼膈散（龔廷賢） , 葛根黄連黄芩湯 , 葛根紅花湯 , 加味温胆湯 , 加味解毒湯 , 加味四物湯 , 乾姜黄連黄芩人参湯 , 甘草瀉心湯 , 荊芥連翹湯 , 柴陥湯 , 柴胡清肝湯 , 三黄散 , 三黄瀉心湯 , 小陥胸湯 , 生姜瀉心湯 , 滋腎明目湯 , 蒸眼一方 , 浄腑湯 , 清上防風湯 , 洗肝明目湯 , 大黄黄連瀉心湯 , 竹茹温胆湯 , 女神散 , 白頭翁湯 , 半夏瀉心湯 , 附子瀉心湯 , 明朗飲 , 抑肝散加芍薬黄連
帰経	心, 肝, 胆, 胃, 大腸
性	寒
味	苦
神農本草経	上品
中医分類	清熱薬 (清熱燥湿薬)
薬能	清熱燥湿, 瀉火解毒. 湿熱痞満, 嘔吐, 瀉痢, 黄疸, 高熱神昏, 心火亢盛, 心煩不寝, 血熱吐衄, 目赤呑酸, 牙痛, 消渇, 癰腫疔瘡に応用し, 湿疹, 湿瘡, 耳道流膿に外用する.
薬徴	心中の煩悸を主治する也。傍ら心下の痞，吐下，腹中の痛みを治す。
備考	第十八改正日本薬局方収載品. 中国産味連は C. chinensis , 雅連は C. deltoidea C. Y. Cheng et Hsiao, 峨眉野連は C. omeiensis (Cheng) C. Y. Cheng, 雲連は C. teeta Wall. subsp. lohitensis Pandit et Babu の根茎である. 中国産馬尾連はキンポウゲ科のカラマツソウ属 (Thalictrum sp.) の地下部. 外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB
参考文献	選品 Q1) 難波恒雄, 津田喜典編: 生薬学概論 (改訂第3版), 南江堂, 東京, 1998. 主要成分 C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 154-158.