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附子
附子
(ぶし)
塩附子
入手時名称:塩附子
撮影場所:富山大学 和漢研 民族薬物資料館
TMPW No.:155

生薬別名 加工附子, 塩附子, 炮附子, 黒附片, 白河附子
生薬ラテン名 Aconiti Radix Processa
生薬英名 Processed Aconite Root
科名 キンポウゲ科 Ranunculaceae
基原 - ハナトリカブト Aconitum carmichaelii Debeaux (IPNI:707241-1)
- オクトリカブト Aconitum japonicum Thunberg (IPNI:707472-1)
薬用部位 塊根 (塊根を加工法により製したもの)
選品 鶏卵大のものが最上品とされる (文献Q1)。
主要成分 アルカロイド alkaloids
- Aconine (A. napellus)
- Aconitine (A. carmichaeli, A. japonicum, A. napellus, A. spp., aconitine系)
- Atidine (A. heterophyllum, A. spp., atisin系)
- Atisine (A. heterophyllum, A. spp., atisin系)
- Benzoylaconine (A. napellus)
- Benzoylheteratisine (A. heterophyllum)
- Benzoylmesaconine (A. spp.)
- Carmichaeline (A. carmichaeli)
- Coryneine (A. carmichaeli, A. spp., 強心成分)
- Heteratisine (A. heterophyllum, A. spp., atisin系)
- Hetisine (A. heterophyllum)
- Hygenamine (A. japonicum, A. spp., 強心成分)
- Hypaconitine (A. carmichaeli, A. japonicum, A. napellus, A. spp., aconitine系)
- Hypognavine (A. spp., atisin系)
- Ignavine (A. spp., atisin系)
- Jesaconitine (A. spp., aconitine系)
- Kobusine (A. spp., atisin系)
- Mesaconitine (A. carmichaeli, A. japonicum, A. napellus, A. spp., aconitine系)
- Napelline (A. napellus, A. spp., atisin系)
- Napellonine (A. napellus)
- Neoline (A. napellus)
- Neopelline (A. napellus, A. spp., aconitine系)
- Pseudoaconitine (A. ferox)
- Pseudokobusine (A. spp., atisin系)
- Songorine (A. napellus, A. spp., atisin系)
- Talatisamine (A. carmichaeli)
- Telatisine (A. spp., atisin系)
- Yokonoside (A. spp., 強心成分)
薬理作用 鎮静,ストレス潰瘍抑制作用(エキス).鎮静,血圧降下,不整脈誘発作用(aconitine),強心作用(hygenamine, coryneine).鎮痛,抗炎症作用(mesaconitine).
臨床応用 強壮,利尿,強心,鎮痛薬として,代謝機能失調の回復,身体四肢関節の麻痺疼痛などの回復,虚弱体質者の腹痛,下痢,失精など内臓諸器官の弛緩によって起こる症状の回復などに応用する.
頻用疾患 顔面蒼白, チアノーゼ, 四肢の冷え, 脈が微弱, 自汗, 腰や膝がだるく無力, 頻尿, 性機能減退, 泥状水様便, 腰痛, 尿量減少, 腹満, 関節の腫脹・疼痛, しびれ, 悪寒
含有方剤 烏頭赤石脂丸料 , 越婢加朮附湯 , 黄土湯 , 温脾湯 , 解急蜀椒湯 , 葛根加朮附湯 , 乾姜附子湯 , 甘草附子湯 , 九痛丸 , 桂姜棗草黄辛附湯 , 桂枝越婢湯 , 桂枝加朮附湯 , 桂枝加附子湯 , 桂枝加苓朮附湯 , 桂枝芍薬知母湯 , 桂枝二越婢一湯加朮附 , 桂枝附子湯 , 牛車腎気丸 , 四逆加人参湯 , 四逆湯 , 芍薬甘草附子湯 , 芍甘黄辛附湯 , 小続命湯 , 真武湯 , 大黄附子湯 , 大防風湯 , 通脈四逆加猪胆汁湯 , 通脈四逆湯 , 当帰芍薬散加附子 , 八味地黄丸 , 白朮附子湯 , 白通加猪胆汁湯 , 白通湯 , 茯苓四逆湯 , 附子粳米湯 , 附子瀉心湯 , 附子湯 , 附子理中湯 , 麻黄附子甘草湯 , 麻黄附子細辛湯 , 薏苡附子敗醤散 , 利膈湯
帰経 心, 脾, 腎
大熱
大辛
神農本草経 下品
中医分類 温裏祛寒薬
薬能 回陽救逆,補火助陽,逐風寒湿邪.亡陽虚脱,肢冷脉微,陽萎,宮冷,心腹冷痛,虚寒吐瀉,陰寒水腫,陽虚外感,寒湿痺痛に応用する.
薬徴 水を逐うことを主る也。故によく悪寒,身体四肢及び骨節の疼痛,或いは沈重,或いは不仁,或いは厥冷を治し,而して傍ら腹痛,失精,下痢を治す。
備考 第十八改正日本薬局方収載品.
『中華人民共和国薬典』では,附子は Aconitum carmichaeli の子根の加工品とされる.加圧・加熱処理した「加工附子」が各種製剤に用いられている.トリカブトアルカロイドは毒性が強く,減毒のための種々の調製法(修治法)があり,その違いにより「塩附子」,「炮附子」,「黒附片」,「白附片」などと呼ばれる.
・中国産塩附子(Aconitum carmichaeliの子根):塩水とにがり水の混液につけた半乾燥品.
・炮附子:塩附子の外皮を剥ぎ2縦割して乾燥したもの.
・黒附片,熟附片:にがり水に浸けた後縦切りにし,調色剤で染色,蒸してから乾燥したもの.
・白附片:黒附片に準ずるが,外皮をはぎ,最終工程で硫黄により白く薫蒸したもの.

日本産白河附子(Aconitum japonicumの塊根):塩水に浸したのち石灰をまぶして乾燥したもの.
修治法の違いにより、次の3種類のブシがある。
 ブシ1:高圧蒸気処理により加工する。
 ブシ2:食塩、岩塩又は塩化カルシウムの水溶液に浸せきした後、加熱又は高圧蒸気処理により加工する。
 ブシ3:食塩の水溶液に浸せきした後、水酸化カルシウムを塗布することにより加工する。
外部リンク: 民族薬物DB, KNApSAcK, metabolomics.jp, KampoDB
参考文献 選品
Q1) 一色 直太郎 編: 和漢薬の良否鑑別法及調製法, 吐鳳堂書店, 東京, 1987.

主要成分
C1) 和漢薬百科図鑑 Vol. I, pp. 91-97.
C2) 生薬学概論, pp. 304-305.
遺伝子領域
Gene Region
Nuclear Chloroplast Mitochondria
基原 5Ss 18S ITS1 5.8S ITS2 26S others trnH-psbA matK trnK trnK-rps16 trnT-L trnL trnL-F rbcL rpoC1 ndhF others
Aconitum carmichaelii Debeaux (IPNI:707241-1)
Aconitum japonicum Thunberg (IPNI:707472-1)
 

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